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俺には一生かかっても越えられない壁がある。


「え〜、じゃあ東先生って彼女とかっていないんですかぁ?」
「うん、残念だけどね。」
「えぇ〜東先生こんなにカッコいいのに誰も付き合おうと思うような人いないんですかぁ?勿体無いですよ〜」
あぁ、また遭遇してしまった。
生徒会主催の行事を1ヶ月後に控えていた俺は
最終決定とする計画書の書類を校長室まで提出しに行くところだった。
しかし、今目の前に広がっているのはこの学校で人気NO.1とされるイケメン(古い表現だが)教師の
東晃一先生に授業内容の質問と称して群がる女生徒達だった。


全く飽きないものだ。
年中こうしてこの人に付き纏っているのだから。
確かにこれだけ見た目も良くて一人暮らしで何でも出来て彼女もいないとなると
ここぞとばかりに狙いを定めてくる彼女達の気持ちもわからなくもないが。


しかしこの人とそういう関係を持ちたいと思っているなら、
早々にそんな幻想は捨て去ってしまった方が身のためだと思う。


この人がその辺の女性に目を向けるなんてことは可能性として0に近いからだ。


この人には大切な人がいる。
俺と知り合うずっと前から今まで、いや、一生かかってもこの人はその人だけを
思い続けるに違いないのだから。


だからこそ彼の大切な人に見た目が似た俺は
ここにいる彼女達以上に不毛な先が見えないこの想いに苛まれているのだ。


取りあえず彼女達が彼から離れていくまで少し待ってから校長室に行こうと決めていたところに
彼は話しかけてきた。


「あ、塚原君。計画書の提出だよね。校長室に提出だよね。
ごめんね、途中で足止めを食わせて。変わりに俺が出してくるから。
提出したらそれで終わり、だったよね?」
「え…あ、はい。」
「じゃあ、はい、貸してその紙。」
「あ、いや、…」
「いや、昨日から頑張って仕事してたみたいだし疲れてるでしょ?
その上に足止めさせちゃったんだからその償い位にはなるだろう?」
「はぁ。」
結局彼は俺の手から書類奪いそのまま女生徒達に「そろそろ会議だから」
と言って校長室へと向かってしまった。
すると女生徒達はこれ以上そこに留まる理由がなくなったためかさっさと退散していった。

あぁ、やめてくれ。またあんたを越えるまで努力しなきゃならなくなる。
努力したくないと思っている弱い自分が彼に頼ろうとしてしまう。


それじゃ駄目なんだ。あの人を越えなきゃ、あの人が俺を対等に、いや、それ以上に見てくれるように。

そう殺風景になった廊下に一人突っ立ている自分に言い聞かせた。

 

 

 

 


あとぐゎき

はい、はじまりました。晃×要長編小説。どうぞ気が向いたらで構いませんのでお付き合いください。
また暗くなりそうだ…あ、いかんいかん!!そんなこと考えたらそれこそ終わりだ!!

2006/10/08しらのたまこ

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