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「どうぞ、汚い家だけど上がって上がって。」
「いえ、すごく綺麗に片付いてますよ。女性の方いらっしゃらないんでしょう?」
「まぁね、家事は俺と太一が分担してやってるから。」
「そうなんですか…」

相変わらず律儀な会話しかしない。
また、そうして自分と俺との差を確かめているのだろうか。
さっさと靴を隅に片付けると台所へ向かう。

「さてと、今すぐ準備するから、そこで座ってくつろいでてくれる?」
「あ、いえ、お手伝いさせてください。
傘に入れてもらった上にお邪魔させていただいて、食べるだけ食べて帰るってのはちょっと…」
「そうかい?悪いね。」
俺が火を見たり、付け合せの料理などを用意している間に彼は野菜を切っていた。
相変わらず表情は暗めで少し虚ろだ。
危ない。
「っつ!!」
「塚原君大丈夫!?」
「あ…大丈夫です。」
「気をつけて。もうすぐで出来るから。もう座ってていいよ。絆創膏はそこの引き出しの中にあるから。」
「すいません手伝うつもりだったのに…」
「いいんだよ。充分助かったし。」

そうやってまた暗い顔をする。
君はいつだって自虐的なんだ。
もう少し人に頼ることを覚えたほうがいいんだよ。

「さぁ、出来たよ。食べようか。」
「はい。」

「おいしい?」
「はい、やっぱり東先生、料理お上手なんですね。」
「今日は塚原君が手伝ってくれたし、すごくはかどったよ。その分美味しく出来てるはずだよ。」

しかし、彼の手は少しも動かない。
「あの。」
「どしたの?」
「そうやって俺のこと庇うのやめてくれませんか。」
「今ここには君と俺しかいないのに、一体誰から庇うっていうの。」
やっと自分から言い出してきてくれたね。
「俺から、です。」
「……」


「先生は全部わかってるんでしょ。失敗すると俺は自分自身を追い込む癖があるって。」
「知ってたよ。」
ずっと君を見てきたからね。
「余計なお世話です。」
言うと思った。けど、
「……別に俺は偽善者ぶってこういうことをしてるわけじゃないんだよ。」
「どういう意味ですか。」
君には到底理解出来ないことだとは思うけれど、言うよ。


「俺が君のことを好きだから、だよ。」


言ってから君の顔が歪むのを見て


あぁやはり言わなければ良かったと思った。


牛乳の割合が多く粘り気の少ないシチューが少しずつ冷えていっているような気がした。




あとぐぁき

どうもちょっとお久しぶりです。しらのです。
いやぁ〜何だかみなさんの期待に反して(ていうか元より期待なんて…)
よくわからない方向にどんどん進んでいってしまっていますこの話…
何だか終わるのかどうかの見通しまでつかなくなってきた;
だめだめですね;すみません;;
また次回も楽しく(?)読んでくださると嬉しいです!ではでは!!(ていうかしらの・・・スランプです;;)

2006/11/06 しらのたまこ 

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